矯正治療の一番大切な目的は「咬み合わせを良くする」ことです。
「咬み合わせを良くする」というのは、歯を並べる時に上下の歯がしっかりと咬み合い良好に機能する位置に歯を排列するということです。その際、あごを楽にした状態で無理なく咬める様、顎関節の状態も考慮して治療を行わねばなりません。
矯正治療とは、単にがたがたのないきれいな歯並びへ改善することだと思われがちですが、良好な咬み合わせに改善することこそが大変重要であり、矯正治療の難しいところでもあります。
きちんとした矯正治療により良好な咬み合わせへ改善することは、下記に示す様な多くのメリットをもたらします。
また、不正咬合から引き起こされる悩みは患者さんそれぞれで違います。食べ物が咬みにくいと感じられている方、歯だけではなくお顔や口元にコンプレックスを抱えられている方、将来のお子さんの歯並びを心配されている親御さん等様々ですので、患者さんそれぞれの悩みをしっかり把握し、できる限りそれを解消できる様に治療を行うことで、少しでも快適な日常をおくれる様にするということも重要な目的のひとつと考えます。
- 咬む能力を高めたり、咬む力を多くの歯で均等に負担することで多くの歯を長持ちさせることに繋がります。
- お子様の場合、正しい顎の運動を誘導して顎や顔の正常な発育を促すことに繋がります。
- 歯磨きがしやすくなり歯列の悪いことが大きな誘引となる、むし歯・歯肉の炎症に対するリスクを軽減します。
- 歯や口元にコンプレックスをお持ちの患者様では、矯正治療により口元を気にせず話したり笑ったりできる様になり、周囲からの印象が明るくなることがあります。
矯正治療は上記の様な良い結果をもたらす一方で、治療をうけられるにあたりリスクや副作用もあることをご理解いただかなくてはなりません。一般的に以下のようなことが挙げられています。(日本矯正歯科学会より引用)
- 矯正装置による不快感、矯正力による歯の痛みが生じることがあります。(数日間~1、2週間で慣れることが多いです。)
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 矯正治療では、装置の使用状況や定期的な通院等において、患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響を及ぼします。
- 顎関節に問題のある場合やその他の様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 装置装着後は歯が磨きにくくなり、丁寧に磨かなければ虫歯や歯肉炎等のリスクが高まります。
- 歯の移動により、歯根が吸収して短くなることがあります。
- 治療のため、歯の形や大きさを修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- ごくまれに、歯が骨と癒着していて矯正力をかけても歯が動かないことがあります。
- ごくまれに、歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性があります。
- 矯正治療前に作製された虫歯治療の詰め物やかぶせ物は、治療後の歯並びでは合わなくなることがあり、作りなおしとなる可能性があります。
- 治療後は保定装置を指示通りに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 治療後も加齢や歯周病、悪習癖や親知らず等、様々な要因により少しずつ歯並びは変化します。
- 矯正治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。